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「ストレートパーマ」と「酸熱トリートメント」と「酸性ストレート」の違いをわかりやすく解説

最近は酸熱トリートメントの熱は冷めて、

酸性ストレートのブームが来てますね。

いろんなところで酸性ストレートについて聞かれます。

酸性ストレートが流行ってる1番の要因としては、

「ブリーチ毛にもストレートができる」

というところに尽きると思います。

一見すごい優しいお薬のように感じますが、普通にダメージはしますし、

使い方を間違えればビビったり断毛したりというのも珍しくはありません。

また、ネーミング的にも「酸熱」と「酸性」は似ているため、

お客様はどのメニューをしてもらったのかがよくわかってない方も多く、

「前回違うお店で酸熱トリートメントしました」と言ってても、

この状態は明らかにストレートやろ!!ってことも多いみたいですね。

ですので、お客様にも違いをわかりやすく説明できるように、

僕なりにそれぞれの違いを解説していきます。

画像があった方がわかりやすいですが、お客様にも言葉で説明できるようにするため

あえて文章のみで説明してます!

本当は画像を用意できないだけ。。

ストレートパーマの基本理論

まずは絶対に必要なストレートパーマ(縮毛矯正含む)の基本的な成分と理論から説明します。

ストレートパーマの1剤の主な成分は「アルカリ剤」「還元剤」「pH調整剤」です。

それぞれの役割は、

アルカリ剤:ケラチンを柔らかくして(分解して)還元剤の浸透を促す・・・軟化

還元剤:髪の毛の形を作っているS-S結合を切断する・・・還元

ph調整剤:薬剤の働きを活発にしたり、キューティクルを開いたりする

です。

健康で強い髪の毛は、還元剤だけだと毛髪内部まで浸透してくれないので、

①まずpH調整剤とアルカリ剤でキューティクルを開いて、

②アルカリ剤でケラチンを分解することで隙間を作って還元剤を毛髪内部に浸透させて、

③還元剤がS-S結合を切断する

という流れです。

このように、アルカリ剤と還元剤は目的が違います。

ただ、通常のサロンワークでは『軟化チェック』はするけど『還元チェック』はしないですよね?

しないと言うよりもできないと言う方が正しいですが、『還元』できたかどうかは正直わからないです。

(軟化OKだと思って流したけど、乾かしたらクセがガッツリ残ってたという状態は、軟化OKだけど還元できてないという状態)

なので、軟化できたかどうかをチェックすることで、還元剤が働きやすくなってるかどうかを確認してたんですね。

次にストレートパーマの2剤です。

2剤に関しては「酸化剤」がメインの成分となります。

1剤で切断したS-S結合を再結合するために過酸化水素水やブロム酸などの2剤を塗布します。

この2剤で髪を真っ直ぐに伸ばした状態で再結合させることで、クセが伸びた状態が維持されます。

酸性ストレートの基本理論

上記を踏まえた上で、次は酸性ストレートの基本的なお話です。

一般的な酸性ストレートの1剤の主な成分は、「還元剤」と「pH調整剤」です。

それぞれの役割は上記と同じなので割愛します。

単純に、通常のストレートパーマからアルカリを抜いたモノにはなりますが、

「還元剤の種類」が通常のストレートパーマとは異なります。

先程のストレートパーマの1剤での説明で、

『・ph調整剤:薬剤の働きを活発にしたり、キューティクルを開いたりする』

と書いてましたが、還元剤の種類によって、どのpHの時に活発に活動するかが違うんですね。

通常のストレートパーマで使用する還元剤は、

ほとんどが『アルカリ性の時に活発に活動する還元剤(チオやシスやシステアミンなど)』です。

なので、通常のストレートパーマに含まれているpH調整剤と言うのは、アルカリ性にするためのモノです。

ところが、酸性ストレートの1剤で使用する還元剤というのは、

ほとんどが『酸性の時に活発に活動する還元剤(GMTやスピエラなど)』です。

なので、酸性ストレートに含まれているpH調整剤と言うのは、酸性を保つためのモノです。

ここで、なぜアルカリが入っていないのにクセが伸びるのか?

というところですが、

基本的に酸性ストレートに使用する還元剤だけだと、健康で強い髪は伸ばすことはできません。

(まれに健康毛のクセを伸ばすときに使用したりもしますが、そういった場合はほとんどがアルカリ性にしながらアルカリ性で働く還元剤とMIXして使用します。)

酸性ストレートが活躍するのは、冒頭でもあったようなブリーチなどのハイダメージ毛です。

キューティクルも損傷して、ケラチンもある程度損傷している髪の毛であれば、

キューティクルを開いたり、アルカリ剤によってケラチンを分解したりする必要はありませんので、

アルカリ剤を使わなくても還元剤の働きだけでクセを伸ばすことが可能になります。

ただ、アルカリが入ってないことで薬剤の浸透力は弱いので、髪質に合わせて前処理が必要だったり、

さらに、しっかり浸透して反応させるためには20分〜40分放置することもざらにあります。

1つ注意が必要なのは、アルカリ剤を使用していないからといってダメージがないというわけではありません。

アルカリ剤がなくてもしっかりクセが伸ばせるほど、還元剤としてのパワーはめちゃくちゃ強いです

なので酸性ストレートとして使用する際も、基本的には通常のストレートで使う弱い薬剤(もしくはトリートメント)とMIXしてると思います。
(GMTやスピエラの配合料は大体20%程度だと思います)

酸性ストレート用の還元剤だけだとパワーが強すぎてすぐにビビっちゃうんですよね。

以上が酸性ストレートの基本的な特徴です。

酸熱トリートメントの基本理論

最後に酸熱トリートメントの基本的な理論についてです。

酸熱トリートメントについては以前の記事でトリートメントとの違いをまとめてるので、

詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

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酸熱トリートメントは、上記2つのメニューとは違って、

クセを伸ばすメニューではない』です。

また、メーカーさんの商品にもよりますが、

厳密にいうと『トリートメントでもない』です。

いわゆる「酸熱」の理論に関しては、

パーマの還元剤とはまた違った成分(グリオキシル酸やレブリン酸)が、

毛髪内部でダメージなどによって乱れた繊維同士を繋ぎ合わせる効果を持っています。
運動場で散らばった生徒を前へならえで整列させるイメージ

また、そのグリオキシル酸やレブリン酸といった成分が反応するためには

150℃以上の熱が必要になります。

なので、アイロンを通さないといけないんです。

乱れてバラバラだった繊維質をつなぎ合わせて整列させることができるので、

デコボコだった髪が真っすぐになりますし、ハリコシも出やすいです。

髪表面はツルツルになってハリコシも出るので、一見髪が健康になったように見えますが、

毛髪内部に栄養成分を入れて綺麗にしているわけではないので、

酸熱を繰り返している髪の毛にストレートやブリーチなどの強い施術を行うと

一気にビビったりということになってしまいます。

実際そういった相談を結構もらいました。

以上が酸熱トリートメントの基本的な理論です。

まとめ

わかりやすく伝えるために、

厳密にいうとちょっとニュアンスが違う、

といった部分もありますが、基本的には上記の通りで大丈夫かと思います。

なんとなく理解できましたでしょうか?

まとめると、

ストレートパーマ(縮毛矯正)は、

アルカリ剤によって強い髪を弱くしておいて、還元剤によってクセの元になっている部分を切断、再結合するメニュー。

酸性ストレートは、

弱い髪に対して、還元剤によってクセの元になっている部分を切断、再結合するメニュー。

酸熱トリートメントは、

毛髪内部の乱れた繊維たちを整列させるメニュー。

となります。

当たり前ですが、どのメニューも高温のアイロンを使用しますので、どんなに優しい薬剤を使ったとしても、熱処理によるタンパク変性は起こります。

施術をする側も、提案するディーラーさん側も実はよくわかっていなかったという人も意外に多いです。

その結果、内容をよく伝えられないままお客様も施術を受けますので、

お客様も何をしてもらったのかがわからない。

何がどう効いたのかがわからないから再現性もなく、継続してリピートされない。

という事がないように知識も身につけましょう!!

 

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