美容業界で働くサラリーマンのちょっとためになる情報

美容ディーラーは不要なのか?現実問題を考えてみる

オンラインでの情報が増えたことによって、

いろんなところで(特にtwitter)美容師さんからの『美容ディーラー不要説』を聞くようになりました。

元々ディーラーをやっていた自分からすると、寂しく悲しい思いもあるので、

「本当にディーラーっていらないのか?」という問題を、

美容室目線とメーカー目線から考えてみました。

美容室目線

美容ディーラーがいることのメリット

まずは当たり前すぎて気づいていないかもしれない美容ディーラーがいることのメリットを一つ一つ見ていきます。

情報が自動的に入ってくる

今はコロナの影響もあり状況は様々だと思いますが、基本的にはほとんどのディーラーさんが毎週美容室を訪問して、

様々な情報を届けてくれてると思います。

そこで各メーカーからの新商品の情報や、セミナーの案内、美容業界全体の話、近所の美容室の話など、

いろんな事を知ることができます。

さらに、美容室側が知りたい情報も、訪問してくれた時に質問すればいいので、自分で細かく調べる必要がないです。

新商品の情報や業界の流れはある程度自分で仕入れることができても、

サンプルの依頼だったり、詳細な剤の特性やコストなど、各メーカーごとに調べるのはかなり面倒臭いと思います。

商品をまとめて送って(配達して)くれる

美容室では、カラー剤やトリートメント剤以外にもパーマのペーパーやゴム、カラー用のホイルにハケ、掃除道具からカルテまで、

本当に様々なものが必要ですよね。

それらを1つ1つ別の業者に注文してると、その都度発注の手間と送料がかかってきます。

パーマ関連のグッズだけで1万円以上頼まないといけないとか地獄じゃないですか??

かといって自分で買いに行くと移動の交通費、時間、手間がかかるし、貴重な営業時間(もしくは休日)を削らないといけないので

非常に生産性が悪いです。

ディーラーさんはそれらを一手に引き受けてくれるので、発注の手間と送料を節約することができます。

サロンのメニューや方向性の相談に乗ってくれる

お店の立地やオーナーの目指している事、今の業界の流れなどを加味した上で、

「こういうメニューを作りましょう」とか、

「こういう打ち出しのお店にしましょう」など、

多くのサロンを見ている人のアドバイスを直に聞けるのは実はかなりのメリットだと思います。

ディーラー側から面白いアイデアがなかったとしても、同じ業界内の違う職種の人に話ができる機会って実は少ないと思います。

自分のお店を見たこともない人にはなかなか相談できないですよね。

セミナーの講師になれたり、有名になるチャンスが広がる

その地域で特化した技術やメニューでの成功事例があれば、ディーラーさん主催のセミナーの講師として

活躍することは大いに可能です。

実際、「全然無名だったけどあるメニューだけで集客に成功していた」という美容室が

集客成功セミナーとしてディーラーさんで講師をして、それから業界で評判になってメーカーさんからも依頼がくる様になった、

という事例は数多くあります。

おそらく、いきなりメーカーさんに「おれこんなことできますんでセミナーヨロシク!」みたいな事言っても中々取り合ってもらえないと

思いますが、ディーラーさんでの成功事例があると、一気にメーカーの見方も変わります。

また、ディーラーさんによってはコンテストやヘアショーを自社で開催されているところもたくさんありますので、

そういったところから全国的に知名度が上がったという美容師さんも多いですよね。

美容ディーラーがいることのデメリット

では次に美容室目線で見たときのディーラーがいることのデメリットを見ていきます。

卸の値段が高くなる

皆様ご存知の通り、美容業界の流通は

メーカー ⇨ ディーラー ⇨ サロン

という流れです。

間にディーラーが入ってることによってサロンに卸す価格が上がってしまってる。

ということで、ディーラーをなくした方が安くなる!という考えです。

もちろんシンプルに考えるとディーラーがいない方がサロンさんに安く商品を卸せるという理屈になるのですが、

実際には中々そういうわけにはいかないんですね。

これはメーカー目線から見たメリット・デメリットの方で細かく説明します。

どこのディーラーも同じ様な案内しかない

これは最近良く聞く様になったことで、ディーラーさんの大型化が進むことで、

ディーラーさんごとに取り扱ってる商品に差がなくなってきてます。

また、一つ成功事例が生まれると、やはりどこのディーラーさんでも同じ様に成功事例を共有してるので、

どうしても時代の流れやトレンドに沿った提案ばかりになり、情報が同じになってきます。

どこのディーラーもどの営業も同じ提案内容なのであれば、

「snsで情報拾えるからディーラーさんが来なくてもいいよ」となるのは当然ですね。

営業の邪魔になる

取引してるディーラーさんが訪問する場合はまだいいですが、

新規での訪問で突然来られたり、忙しいのにずっと店内で待たれたり、

お店の番号に電話での営業が頻繁にあったり、となるとサロンワークに支障をきたすため、

邪魔になってる事が多いと思います。

他にもまだあるかも知れませんが、ひとまずデメリットはこんな感じだと思います。

メーカー目線

続いては、メーカー目線でのメリットデメリットを見ていきます!

美容ディーラーがいることのメリット

これはめちゃくちゃ多いですね。

挙げればキリがないほどあるので、代表的なところに絞ってまとめていきます。

商品を拡販してくれる

実際問題メーカーが、全国24万件の美容室に対して商品を案内するのは不可能です。

テレビやネットを使っても全ての人に情報を届けるのは無理ですし、

しかも業務で使用する商材なので、ただ商品名を知ってもらっただけでは意味がないんですよね。

各地域のディーラーさんを通すことで、1件1件商品の説明をしてくれて、

必要であればサンプルも持っていってくれて、フォローまで行ってくれます。

これをメーカーが行うには、営業の人数と拠点が今の5倍くらいは必要になります。

代金の回収をしてくれる

実はここが1番のメリットといっても過言ないくらい大事です。

大手のメーカーさんになると、自社の商品を取り扱ってくれている美容室の件数は

何万件にのぼります。

その何万件に対して毎月毎月回収の確認できてるかのチェックするのは

驚くほどの手間とコストとリスクがあります。

もちろん集金に行くのも無理なので、振り込みか引き落としになりますが、

美容室側も各メーカーごとに振り込み手数料かかってたらめっちゃもったいないですよね。

多くのメーカーさんが直送ブランドを展開しているのに、

ディーラーさんを通して流通してるのは実はこの部分の要因が大きいです。

商品をまとめて仕入れてくれる

これも非常に大きなメリットです。

基本的にはどこのメーカーさんも、ディーラーさんに対しては箱単位での販売になります。

細かい仕分け作業もいらないですし、カラー剤1本1本色味の確認もしなくていいので、

発送に関するコストがかなり削減出来てます。

これを美容室1件ずつの注文に対応していると、

倉庫の拡大、発送作業員の人件費、梱包材などの資材費、受注システムの管理費、

などなど、より多くの経費がかかってきます。

上記のような様々な経費を削減できる

上に書いたように、商品の拡散を全国の美容室に対して自社で行うには、

莫大な人と手間とお金がかかります。

代金の回収や商品の発送に関しても書いた通りですね。

結果的に、必ずしもディーラーさんがいない方が安くできるというわけではなく、

ディーラーさんがいるからこそ今の価格で提供できているという事は知っておいて欲しいと思います。

美容ディーラーがいることのデメリット

正直メーカーから見てのデメリットはほぼないですが、敢えて挙げるならという形で2つだけ挙げます。

取引したい美容室にいけない可能性がある

メーカーから見て、ここの美容室にうちの商品を導入したい!

という美容室が全国にいっぱいあります。

その時に、メーカー直であればもちろんすぐに営業をかけて商品の案内に行くのですが、

ディーラーさん経由だと、

そのディーラーさんから同じカテゴリーの商品を買ってもらってる、

といった場合、わざわざそこに新しい商品を提案しようとはならない事が多いです。

思った売り方と違う伝わり方をする可能性がある

これは、同じ社内でも人によってあり得る事ですが、

ディーラーさんが案内してくれた美容室に後日説明に伺ったりすると、

「え、そんな使い方だったんですか?」といったことを言われる事が稀にあります。

もちろんこちらの伝え方の問題でもありますが、

説明を聞かずになんとなくパンフレットだけ見てこんな感じでしょ?

という案内をされる事があるのも事実です。

最終的にはディーラーの訪問がなくなるというのが現実的なゴール

これらを踏まえて考えると、ディーラーがなくなるというのはあまり現実的ではないですね。

それよりも、amazonの美容ディーラーとか、ビューティーガレージさんとかのような

web発注のみの展開をするディーラーさんがこれからさらに増えていきます。

日中のルートをなくす事で、各サロンさんごとに経営の話やマネジメントの話、

また、薬剤の知識やデザインについて、より深い提案ができるようにならないといけないです。

美容室から、やっぱりディーラーって必要だよね!って思ってもらえるかどうか、

今後のディーラーさんの動きに注目したいです。

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