ホットペッパービューティの【美容センサス】で、2023年度上半期のサロン利用傾向のデータが発表されてました。
簡単にまとめると、
・男性のパーマ利用率が増加
・男性のグレイカラー、インナーカラー利用率も大幅増加
・20代女性の約4割はブリーチメニューを選択
・年間の店販購入金額が過去最高
・1回で1万円以上払っているお客様の方が値上げに対して寛容
といった内容です。
この中で個人的に気になるのは
・年間の店販購入金額が上がっている
・高単価のお客様ほど値上げに対して寛容
の2点です。
この2点を僕なりに分析していこうと思います。
なぜ店販の購入金額が伸びているのか?
なぜ高単価のお客様の方が値上げしても継続して通ってもらえるのか?
理解することでお店の売上の参考になるかと思います。
年間の店販購入金額が上がっている理由
店販が年々売れない売れないと言われ続けている中で、
店販の購入金額が上がっているというのは一体どういうことなんでしょうか?
簡単に考えられる理由としては、
①コロナ禍で自宅でのケアの重要性を実感するようになった
②ドライヤーやアイロンなどの高単価な店販商品が増えた
があると思います。
確かに、出かける機会が減った分、自宅での美容にお金を使えるようになったというお声は多くありましたので、
コロナ禍で使ってみて気に入ったものを継続して使っているということは十分考えられそうです。
また、ドライヤーも売れ出した当初は2万円くらいでも高いと言われてましたが、
今では10万円するものも出てきており、5万円前後が当たり前になってきてます。
ほぼこの2つだけの理由で片付けられそうですが、僕個人としてはもう一つ理由があると思っていて、
それが、
③オリジナル商品を作って販売するサロンさんが増えた
という理由もあるのかなと思います。
ここ1、2年でサロンさんのOEMの商品がかなり増えた印象があります。
サロンさん単体で作る場合もあれば、オンラインサロンで作っている商品もかなり増えています。
市販では買えなくて、自分たちの想いやこだわりが詰まった商品を作ることで、
これまで店販が得意でなかったサロンさんでも店販比率が上がっています。
さらに、以前と比べると情報量も増えて、
小規模なお店でも良い商品を作りやすくなりましたし、
snsで発信することで商品の認知も獲得できますし、
オンラインでも販売できるという販路が増えたことでより売りやすい環境になっています。
皆さんの身近にもオリジナル商品を作ったサロンさんないですか??
今後もっと自社のオリジナル商品を作るサロンさんは増えていきそうです。
また、ここでは言えないですが、皆さんがよく知っているオンラインサロンやお店の商品も、
意外と知ってるメーカーさんで作られているケースが多いですよ!
OEMに興味あるサロンさんはお気軽にご相談ください。
高単価なお客様ほど値上げに対して寛容な理由
光熱費や材料費の高騰、また人材確保のための人件費の高騰などもあり、
料金を見直したいというサロン様は多いと思います。
大型スーパーで売られてる商品なんかほとんど値上げしてますしね。
ただ、値上げして怖いのが失客です。
『値段を上げると今のお客様が来てくれなくなるんじゃんないか?』
という不安があり、なかなか値上げに踏み込めず周りの状況を伺っている状況だと思います。
リクルートさんが行った値上げに対してのアンケートでは、
【値上げをされてもそのサロンに継続的に通うかどうか?】
という質問に対して、
1回あたりの利用単価が4,000円以下のお客様は『57,7%』
1回あたりの利用単価が4,000円〜10,000円のお客様は『58,1%』
1回あたりの利用単価が10,000円以上のお客様は『66,9%』
という結果でした。
おそらくですが、1回あたりの利用単価がさらに上がれば上がるほど継続利用したいというお客様は増えていくと思います。
なぜ利用単価が上がるほど継続利用したい人が増えるのか?ということですが、
①サロンに通っている理由がそもそもお金じゃないから
②新しいところに行くのが不安(めんどくさい)だから
ということが考えられます。
①の理由としては、
単価が10,000円以下の場合は、どうしても
「少しでもお得にカラートリートメントしたい」
といった『お得感』でサロンを選んでいるケースが多いと思います。
ホットペッパーで新規クーポンなどを使っていろんなお店に行く人ですね。
元々のサロンを選ぶ理由の最優先項目が『お得感』なので、どれだけいい技術を提供してもなかなかリピートしてもらいにくいです。
オシャレなご飯屋さんに行きたいという彼女の要望に対して、美味しいという理由で汚い中華料理屋に連れていくようなもんです。
②の理由としては
生えぐせや髪質に何かしらのコンプレックスを抱えている人は特に多いんじゃないかと思います。
「自分の髪質が難しくて、過去に何度か失敗された経験があって、やっと安心できる美容師さんを見つけた」
と思っている人にとっては、値段が多少上がったからといってまた失敗されるかもしれないというリスクを負う方が嫌だと思います。
これら①と②の理由に共通しているのは、
担当スタイリストさんの技術への信頼
なんですよね。
結局は技術に対して信頼を勝ち取れない限りは、
値上げをしなくても「立地」や「内装」や「値段」などを理由にいずれ失客してしまうということです。
逆に、技術への信頼を勝ち取っていれば、
多少値上げをしても、多少場所が不便でも、オシャレな内装でなくても通い続けてくれます。
お客様に信頼される技術を提供できてますか?
今後の美容室の在り方は?
近年は美容師さんの働き方にフォーカスされていて、
ここ何年かで本当にいろんな働き方が選択できるようになりました。
また、雇用条件などもよくしないと求人がかからないため、
給与や福利厚生まで整ってるサロンさんもかなり増えました。
ある程度人材を確保できるようになったお店のオーナーが次にぶつかる壁は
『教育』です。
これまでのスタッフはオーナーが直接指導できましたが、
ある程度オープンして年数が経ってくるとオーナーと新卒の年齢ギャップも大きくなったり、
求められる技術も変化していくため、管理職となる人材を育てて、
そのサロンの文化を根付かせていける教育システムの構築が必要になります。
ただ、管理職となるべき人材は、20代後半〜30代前半くらい。
スタイリストとしては一番活躍できる年代で、同級生の独立も増えるタイミングです。
そういった年齢のスタイリストに、いかに独立よりもメリットを感じてもらえるのか?
さらに、自社のことを理解してもらって、それを後輩に落とし込んでいってもらえるのか?
その上で、『お客様に信頼される技術』をいつまでにどう身につけてもらうのか?
ここまでしっかりと考え込んで作り込めるところが強くなりそうです。
そういったサロンさんであれば、OEMの商品を作ってもお店全体で協力して拡販していけそうですし、
メニュー料金をあげてもお客様に理解していただけそうです。