先日テレビをつけていたらたまたまQBハウスの舞台裏みたいな番組をやっていて、思わず見てしまいました。
ヘアカットをするという同じような業界であるにも関わらず、『QBハウス』や『イレブンカット』などのカット専門店は違う業界の話に思えるくらい、美容業界ではあまり意識されていないと思います。
『QBハウス』に関しては、国内海外含め約７００店舗を展開しており、年間２１００万人が利用していると言われているにも関わらず、
ディーラーやメーカーからしても、カラー剤やパーマ剤やシャンプー剤などを買ってくれる事もないので、全く接点もなく実情についてはあまり関心がなかったと思います。
この番組では、QBハウスが運営している「ロジスカットスクール」という教育システムについての話がメインでしたが、見ていると色々と勉強になりそうなことがいっぱいあったので、忘れないうちにまとめておきます。
とにかく時短
QBハウスの１番のウリは、『１０分で満足度の高いカットを行う』というところに尽きると思います。
もちろん値段が1200円と美容室に比べるとだいぶお得感もありますが、いくら1200円だからといっても、お客さんがそれなりに満足してないとリピートされることはありません。
最低でも1200円以上の価値を感じているからこそこれだけの集客が可能になっているんだと思います。
実際に１０分で顧客満足度を上げるための取り組みがいくつかあって、
①時短にこだわったカット技術
QBハウス独自のカット技術があり、それを自社が運営しているスクールで学ばせているのですが、前髪カット一つとってもなるべくハサミを入れる回数が少なくなるように考えられた技術になってました。
通常であれば、カットした後にパッツンになりすぎないように馴染ますカットをすると思うのですが、普通にブラントでカットしてもパッツンにならないようなカットの仕方だったり、
刈り上げを行う際に使うバリカンの入れ方も、段がついて後からハサミで整えなくてもいいような入れ方だったり、
随所に時短に繋がる技術が盛り込まれていました。
②時短にこだわったカウンセリング
１０分で切り終えないといけないため、カウンセリングには時間をかけてられないです。
そのため、
「どれくらい切りますか？」
という抽象的な質問はせずに、
「耳は出しますか？出しませんか？」
という風に２択でどちらかを選択してもらうように質問をすることで悩む時間を減らし、最短でお客様のイメージに近づけていく。
③時短にこだわったお店づくり
上記の写真のようにQBハウスには、ワゴンが置いてないです。
その代わり、セット面の鏡の横に棚が置いてあり、そこにバリカンやセニングが置いてあったり、クロスをしまえるようになっています。
なので、鏡と棚の角度にまでこだわって、施術者がなるべく移動を少なくコームやハサミを帰れるように設計されています。
また、ご存知のようにQBハウスには基本的にはシャンプーがありません。
なので、カットが終わった後は棚についている掃除機のようなもので髪の残っている余分な毛を吸い取って終了となります。
さらに、セット面の下にネズミの巣のような穴が空いており、そこも掃除機のように毛を吸い込んでくれるようになっているので、お客様が帰った後は箒で髪を集めてその穴に持っていくだけで後は吸い込んでくれます。
④徹底した時短教育
上の①〜③以外にも、クロスを畳むスピードも○秒以内に畳みましょう。といった具体的な秒数を伝えていたり、「一人のお客様に対しては１０秒くらいのロスでも、それを３０人〜４０人こなしていくとかなりのロスになっていく。」ということを伝えていたり、
当たり前のことではありますが、それをきっちりと数字などで丁寧に伝えることによってよりスタッフ一人一人に浸透しているんだと思います。
値上げの影響
QBハウスといえば、今年の２月にこれまでの売りだった1000円カットという『1080円』の金額から、『1200円』の値上げをしたことが話題になりました。
大半の方は安さがウリだと思っていたため、値上げによってかなり集客が落ち込むことが予想されましたが、実際のところは値上げをしなかった月と比べても２％しかダウンしてないらしいです。
冒頭でもお伝え下通り、QBハウスに行かれているお客様は、もともとそこまで安さで選んでいたわけではなく、速さや仕上がりに満足度を感じていたという事だと思います。
美容師がQBハウスで働くメリット
実際QBハウスでは、元美容師、元理容師さんが数多く働いているらしいです。
元美容師さんがQBハウスで働く理由としては、
・美容師時代はシャンプーなどで手荒れが原因で働けなくなったが、カット自体は好きだったため、カットに専念できるから
・美容業界では数少ない１部上場企業。なおかつかなり珍しい固定給制。また、交通費全額支給や、勤務地を選べたり残業代の支給があったりと、充実した福利厚生。
・技術に自信がない方でも、お給料をもらいながら技術を習得できるスクール制度。
など、通常の美容室ではありえない事だらけです。
おそらく、（今後の法律の変化にもよりますが）今後はコンビニのように海外からきて日本に移住している人達が、留学生や観光客を相手にQBハウスで働くこともありえると思います。
QBハウスにみる差別化戦略
これだけQBハウスがすごいから、美容室もQBハウスにお客さんがとられるんじゃないか！？
ということを危惧しているわけではなく、
・お店の作り方
・技術の教育
・カウンセリングなどのオペレーション
これらに共通した『ウリ』を連動さすことで、圧倒的な差別化が可能になるんじゃないかなと。
実際それに成功しているのがQBハウスや北原さんのDearsとかなんじゃないかなと思います。
『ウリ』を作って、それを教育で徹底的に落とし込んで、ホームページやSNSでその『ウリ』をわかりやすく拡散する。
当たり前のようでやってるサロンさんはまだまだ少ないと思います。
だからこそチャンス！！
僕自身も、自分のウリは何か？それをどう知ってもらうか？
しっかりと発信していきます。
