美容業界で働くサラリーマンのちょっとためになる情報

サロントリートメントの新しい時代

ここ2、3年で、サロントリートメントの商品、在り方は大きく変わって生きてると思います。

「酸熱トリートメント」

「PLEX系」

など、新しいメニューもどんどん生まれてきて、

お客様が『トリートメント』に求める価値も変わってきていると感じます。

おそらく多くの美容室でも、カット、カラーの次に売上を作っているのは

『トリートメント』

だと思います。

 
美容業界で働くサラリーマン

なので今回はトリートメントをメインで扱っているメーカーの営業が、

『トリートメント』のこれまでの変化とこれからについて勝手に考えます。

これまでのトリートメント

一昔前のトリートメントの在り方

〈2010年 ヘアカタログ〉

でgoogleで画像検索すると、こういったスタイルがたくさん出てきました。

おそらく、デジパがひと段落してコテ巻きが流行り出して主流になった頃だと思います。

かなり巻きが強くてしっかりウェーブがついてるのがわかります。

ヘアカラーの色味は全体的に落ち着いていて、

「彩度」よりも「ツヤ」 が重視されてたのかなと。

2010年て聞くと割と最近のように感じますが、スタイルを見ると、
「あぁこんな時代だったのかな」と歴史を感じますね。

これらから読み取れることは、

・大きなウェーブをしっかりと作らないといけない

 ⇨ かなり高温のコテでじっくりと巻くために髪が乾燥しやすい

・乾燥してるのに「ツヤ」を求められる

 ⇨ 油分をたくさん足してとにかく「ツヤ」と「しっとり感」を出さないといけない

そのために、トリートメントに求められていたのは、

しっとりする手触り

ダメージを感じさせないツヤ

大きく分けるとこの2つだと思います。

なので、

 
とにかくしっとりしてないとトリートメントが効いてない!
 
ツヤがないとトリートメントした意味がない!

というニーズだったと思います。

使われている成分

使われる成分もメインは

「油」

ですね。

油分を足すことによって、アイロンの熱ダメージから守りながら、

しっとりとした質感を作る。

お肉を焼く時に油をひくと焦げ付きにくくなるのと同じで、

髪の毛も高温のアイロンの熱から守るためには油分は効果的なので。

ただ、油分を入れただけだとすぐにとれちゃうので、

油分を入れた後に髪の表面にコーティングをすることで

油分の持続と、ツヤも同時に得られてた。

というのがその当時のトリートメントの特徴だと思います。

(もちろん全ての商品がそういったわけではなく、全体的な潮流です。)

得られた効果

油分を中に入れてコーティングしただけなので、

いわゆるダメージ補修という効果はあまり期待できなかったんじゃないかなと

今になっては思います。

以前のブログ

美容業界で働くサラリーマン

ヘアケアについて考えるには、まずは素材を知るところから。 僕もこの業界に入るまでは『髪の毛』については全く知識ゼロでした…

にも書きましたが、

髪の毛のおよそ80%はケラチンタンパク質という

タンパク質で作られてます。

そして、油分(CMC)はわずか3.5%しかないんです。

なので、どんなにたっぷり油分を足しても

『健康な髪の毛』には近づけることができなかったんですね。

子供の髪の毛とかって全然「しっとり」してないですもんね。

なので、得られる効果としては、

見た目のツヤ、手触りと、熱からのバリア効果、がほとんどだと思います。

これからのトリートメント

トリートメントの在り方

〈2020年 ヘアカタログ〉

で検索すると、こういったスタイルがあがってきます。

2010年と比べると巻きもだいぶゆるくなっており、

いわゆる「ゆるふわ」なスタイルが多いですね。

カラーも明るめ+寒色系、しかもショートタイルも増えてます。

しっかり巻くという行為がなくなった上に、ドライヤーやコテの進化によって

熱ダメージがかなり軽減されてると思います。

しかも、ショートスタイルが増えたことによって、

そこまでダメージが蓄積していない場合も多い。

ただ、その分ヘアカラーは『外国人風カラー』を筆頭に、

ブリーチがかなり使用されるようになり、

熱によるダメージから、カラーのアルカリによるダメージに変化してきてます。

お客様としては、高いお金を払ってカラーをするので、

少しでも長くその色を保たせたい

という思いと、

「ゆるふわ」に仕上げたいので、しっとり重たくなるのは嫌

という2つのニーズがあります。

そのため、トリートメントに関しても、

油分を使いすぎるとしっとりし過ぎてしまう、

油分を入れると透明感が感じにくくなってしまう、

ために油分系のトリートメントはかなり減ってきてると思います。

また、カラーの色持ちをよくするためには、

カラーが定着するところを「いかに傷ませないか」と「いかに補うか」

が重要になってきます。

使われる成分

そこで最近人気があるのが、

「PLEX系」や「TOKIOインカラミ」

だと思います。

詳しくは書かないので、本当に大まかに特徴をかくと、

PLEX系は、今ある髪の毛の中の栄養成分(ケラチンタンパク質)を極力流出させないようにするためのトリートメント、

TOKIOは、なくなった栄養成分(ケラチンタンパク質)を特許の技術によって再度髪の中に擬似的に作ることができる。

という特徴があるので、

カラーで傷みにくくするためのトリートメントと、

カラーで傷んだ後のトリートメント

として多くのお客様や美容師さんに選ばれているんだと思います。

おそらくこの流れはもう少し続くと思いますので、

今後もトリートメントのメイン成分となるのは、

髪を守るための成分(アミノ酸・・・アミノ酸の分子が大きくなるとタンパク質になる)や髪を補修するための成分(アミノ酸)が

今後もメインとして扱われるようになると思います。

得られる効果

得られる効果は、上にも書いた

「色持ち」、「ダメージから守る」

にプラスアルファ、

「ハリコシ」、「しなやかさ」、「パーマのかかり」、「扱いやすさ」

などがあげられると思います。

より傷ませない、しっかりと健康な状態に近づけることで、

しっとりではない、より自然な質感が得られます。

これからのトリートメントの勧め方

5年前〜10年前くらいまでは、

『しっとり』『ツヤ』

が重視されていたので、美容師さんが細かい説明をしなくても、

目で見ればわかるし、手で触ればわかる、という状態だったと思います。

お客様も、

『しっとり』『ツヤ』

に価値を感じていたので、

とにかくしっとりしてツヤが出てればちゃんとお金払いますよ、という感じですね。

ただ、ノンシリコンブームやオーガニックブームによる

健康ブーム

が起きてからは、しっとりしてるだけでは価値は感じられなくなっていて、

『ちゃんと髪が健康になってんの?』

というところに価値を感じる方が多くなってます。

 

カラダの健康づくりと同じで、

昨日の晩にサプリ飲んだから今日から健康!

みたいなことはなくて、

積み重ねによって健康は作られているので、

1回でのわかりやすさがあまり感じれないために、

美容師さん側の説明が必要になってきてます。

多分パーソナルジムのトレーナーさんとかも、

一方的に「これ食ってこのメニューやっとけ」って人はいなくて、

「今のこのカラダをこういう状態にするためには、

こういった栄養がある食べ物を食べて、

こういう効果があるトレーニングをしようね。」

と説明されてると思います。

美容師さんも、言ってしまえば

お客様の髪のパーソナルトレーナー

だと思うので、

「今この髪の毛はどういう状態で、こういうデザインをするためには

こういう栄養成分が入ったケアがこれくらいの頻度で必要だよ」

というくらいは説明しないといけないと思います。

何度も言いますが、

お客様はもう『質感』に価値を感じなくなっています

 

なので、これからのトリートメントの新しい価値をお客様に提供するのは、

メーカーの商品でもなく、ディーラーさんでもなく、美容師さんだと思います。

注)この意見は全て個人の考えによるものです。

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