美容業界で働くサラリーマンのちょっとためになる情報

amazonの美容業界参入

先日の日経新聞の記事で、amazonが本国にて美容室向けの商材の取り扱いを始めるということが記事になっていました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46526450V20C19A6000000/

資格を持つ美容師やスタイリスト、エステティシャン向けに業務商材を販売するらしいです。

amazonの担当者のコメント
“現在、プロ用美容商品は「競合品がほとんどなく価格競争もない」状態だ。美容師やスタイリストは独立して仕事を請け負っているケースが多いため、それぞれ仕事で使う製品を買い集めるにも手間がかかっているという。アマゾンは「多数の販売パートナーと便利で迅速な配達網を生かし、こうした問題に対処できる」(担当者)としている。”

もちろんアメリカでの話なので、日本の美容業界について語っているわけではないですが、
年間25兆円もの売上を誇るamazonからすれば、日本の美容業界で起こっている価格競争なんて話にならないと思います。

まだ日本でも行うと決まったわけではないですが、近い将来参入が考えられますし、amazonだけでなく、
楽天なんかも参入してくる可能性は大いにあります。

そのために、まずはamazonがどういう会社なのか、たまたま最近amazonについて書いている本を買ったばかりなので、簡単に紹介していきます。

アマゾンの強み

商品の取り扱い数

まず一つ目の強みは何と言っても商品の取り扱い数です。
最近のテレビCMのキャッチコピーにも現れていますが、

「欲しいもの、なんだって」

という言葉の通り、アマゾンで扱っていないものは何もないと言ってもいいくらいありとあらゆるものを取り揃えています。

本や日用品のイメージが強いですが、実は中古車なんかも販売しているくらいなんでも取り揃えています。

こんなアマゾンなので、おそらくほとんどの美容メーカーの商材を取り扱うことになると思います。
品揃えでアマゾンに対抗できるディーラーさんはこの時点でわずか数社のみです。

配送システム

二つ目は配送システムです。

僕自身もアマゾンプライム会員になっているので、本なんかを頼めば翌日に届くという環境なのですが、
なぜそんなことが可能なのかと言うと、莫大な倉庫を作って自社で商品を抱えているからなんです。

例えば『楽天市場』もアマゾンと同じくネットを介して商品を販売していますが、楽天はオンライン上での販売ページをお店に貸し出しているだけなので、お客さんが商品を購入するとお客さんは楽天ではなくて、商品を買ったショップとのやり取りになります。
つまり、お金は楽天ではなくショップに支払いますし、商品も楽天からではなくショップからお客さんの元へ送られます。

これに対してアマゾンは、ショップの商品を全て自社で仕入れを行い、決済のやり取りも商品の発送もお客さんとダイレクトになります。

なので、楽天で商品を買っても楽天のダンボールではないですが、アマゾンで買い物をすれば全てあのアマゾンのダンボールで届きますよね。

もちろんそれだけの在庫を抱えるためには倉庫の大きさも必要ですし、莫大なキャッシュがなければできないので、なかなか他の会社にはマネできない規模になっています。

さらに、日本では配送料の問題等もあったので、現在ではアマゾン専用のトラック、ジェット機など、配送に関しても独自のルートを構築中です。

商品を翌日着で届けれるディーラーさんは結構多いイメージがありますが、

取り扱い数 × 在庫数 × 配送スピード

となるとまた対抗できるディーラーさんは激減しそうです。

AIとの連動

3つ目はテクノロジーの力です。

アマゾンには、

顧客が「何を欲しいのか予測して出荷する」

特許技術があります。

これは、顧客が「購入」をクリックする前に商品を配送してしまうと言う恐ろしい技術です。
何も、買ってもない商品がいきなり家に届くのではなくて、もうすぐ購入されそうな商品をその人の家の近くの倉庫に送り届ける仕組みらしいです。

それまでの購入履歴や検索履歴、ページへの滞在時間など色々なデータからの予測で、かなりの精度で次に何を購入するかが推測できるらしいです。

そのデータを元に最寄りの倉庫に事前に在庫を移しておくことで、欠品もなくより早くお客さんの元へ商品を届けられるということです。

これを美容室に応用すると、そのお店の好みの薬剤をAIが考えてくれて、こういう商品はいかがですかと勧めてくれるので、ディーラーの営業も必要なくなりますし、
さらには、発注のタイミングなどのデータによって、もうすぐシャンプーがなくなりそうとか、この色味がなくなりそうといったことも教えてくれるようになるので、美容室の材料担当の仕事も大幅に軽減できそうです。

お店の課題解決までの提案は流石にできないとは思いますが、ただただ商品の提案をしているだけの営業だったらamazonでいいやと思われる可能性も大いにあります。

圧倒的な安さ

4つ目は何と言っても安さです。

はじめのamazonの担当者のコメントにもあるように、amazonから見れば美容業界の価格競争はおそらく大したことないレベルだと思います。

圧倒的な大量仕入れ、独自の物流システム、そしてAIを活用して人件費を削減することで、
これまでの業界ではありえない価格提示してくる事も考えられます。

実際、アメリカでは全米2位の規模だった書籍チェーンのボーダーズや、同じく家電量販店2位だったサーキットシティ、そして日本でも話題になった玩具販売のトイザらスなどがアマゾンによって破綻に追い込まれています。

値段、流通ではamazonに勝つのはおそらく難しいと思われますので、amazonではできない価値を作ることが必要不可欠になります。

そのためにはまずはアマゾンを知ることから。

僕もまだ読み終わってないですが、アマゾンを知るだけでビジネスの基礎知識から、今後の経済の展開まで予想できるので、美容業界に身を置く人にはマストでこの本をお勧めします。

 

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