美容業界にお勤めの方(髪、肌関係なく)であれば、必ず『CMC』という言葉は聞いたことがあると思います。
「油分だから保湿効果があるかな〜」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、
実は保湿だけではなく、髪や肌でいろいろな活躍をしています。
今回はこの『CMC』について詳しく解説していきます。
『CMC』とはなんだ?
まずは『CMC』についてですが、
CMC は cell membrane complex の略で、正式には「細胞膜複合体」という名称です。
元々の健康な髪の毛にも含まれている成分で、主に
キューティクルやコルテックスを接着する「のり」としての役割
を担っております。
このCMCがないと、キューティクルがめくれ上がって、内部成分が流出しやすくなってしまいます。
また、髪の毛は生えてきた瞬間に死んでいるので、お肌と違って自然に回復する再生能力を持っていません。
ですので、他の栄養成分と同じく、失ってしまうと外部から補う必要があります。
そこで使われているのが、トリートメントや洗い流さないトリートメントに使われている『CMC』です。
CMCの役割
先ほどもちょろっと書きましたが、CMCは大きく分けて3つの役割を持っています。
①「のり」としての役割
まず1つ目は先ほども記載した、
キューティクル同士やコルテックス同士をくっつける「のり」としての役割です。
このCMCで吸着されていることによって、内部成分がバラバラにならないだけでなく、
外部からの水などの侵入を防いでくれています。
②薬剤の通り道としての役割
2つ目は、カラー剤やパーマ剤などを浸透させるための通り道です。
先ほどは外部からの水などの侵入を防ぐと書きましたが、
CMCは油分の1種ですので、油が混ざったものなどは逆に馴染みやすく、
髪の毛の中に入れるための通り道として機能します。
③保湿剤としての役割
健康な髪の毛の中には約12%程度水分を含んでいます。
この水分をドライヤーなどの熱から守って保持してくれるのもCMCの働きの一つです。
CMCがないと、内部に水分を蓄えたくても蓄えることができず、
パサパサ・ガサガサの髪になってしまいます。
CMCの用途
役割がわかったところで、実際にサロンやご自宅での使い方について簡単にまとめます。
洗い流さないトリートメントとしてのCMC
洗い流さないトリートメントなどでCMCを使用すると、
キューティクル同士をくっつけて、引っ掛かりをなくしてくれる効果があります。
ブラシや手ぐしの引っ掛かりや摩擦から守ってくれることで、外部刺激を受けにくい状態を作ってくれます。
サロンでの前処理としてのCMC
カラーやパーマの前処理として使用することで、
薬剤の浸透を均一にしてくれる効果があります。
ハイダメージの毛先部分だけ極端に薬剤を吸って、中間があまり反応しない。という失敗を減らせるので、
ダメージレベルが高い方には有効に使えます。
アイロンやコテの前のCMC
アイロンやコテなどはほとんどの方が160℃〜180℃くらいで使用されてると思います。
もちろん通常のお水の沸点は100℃ですので、何もつけずに毎日アイロンやコテを使用すると
どんどん水分が失われて、さらにはタンパク質も硬くなって髪の毛がカリカリになっていきます。
そこで、高温のアイロンやコテを使用する前にCMCを使用することによって、
熱から水分が蒸発するのを防いでくれます。
オイルを付けてからアイロンしてるという方も多いと思いますが、
オイルよりも圧倒的にCMCの方が高熱との相性はいいので、毎日アイロンが必須という方はぜひCMCのミストやクリームなど試してみてください。
以上がCMCについてです。
CMCの役割を理解することによって、
前処理なのか、中間処理なのか、後処理なのか、
施術のメニューや髪質によって使うタイミングが変わってきます。
元々の健康毛にはわずかしか含まれていない成分だからこそ、
極力CMCを流出させないような意識で仕事していきたいですね。
ケラチンタンパク質についてはこちら↓
最近では当たり前の様に髪の毛の補修には『ケラチン』が必要だと浸透してきましたね。 ここにもあるように、市販のシャンプートリートメントでも『ケラチン』が謳われるようになってます。 元々、健康な髪の毛というのは、 80[…]