最近では当たり前の様に髪の毛の補修には『ケラチン』が必要だと浸透してきましたね。
ここにもあるように、市販のシャンプートリートメントでも『ケラチン』が謳われるようになってます。
元々、健康な髪の毛というのは、
80%以上がケラチンタンパク質でできています。
ちなみに、ケラチンの次に多いのが12%で水分。
一番少ないのは3.5%で油分。
になります。
なので、髪の毛の補修には「ケラチン」を使用するというのはごくごく自然で当たり前な流れです。
ところが、従来のトリートメントというのは、油分である『CMC』をメインにした商品が圧倒的に多かったです。
みなさんも経験あると思いますが、CMCなどの油分というのは、
瞬間的にパサツキを抑えたり、しっとりした質感を簡単に作れます。
その『しっとり』という質感が、いかにもトリートメントが効いてるような感覚になりやすいので、
多くの商品はCMCをたくさん使いたがる訳です。
ただ、先ほども書いたように髪の毛の主成分は『ケラチン』です。
子供の髪の毛で元々『しっとり』という質感の子はいないように、
なんとなく一般の方々の中でも『しっとり』の質感に対して疑問を感じてきてるのが、
今のタイミングなんだと思います。
これから、市販のヘアケア品でもさらに『ケラチン』を使用した商品が増えると思いますので、
今回は『ケラチン』について細かく解説します。
『ケラチン』て何?
まずはそもそもの『ケラチン』についてです。
当たり前のようにケラチンケラチンと言ってますが、一般的には『ケラチンタンパク質』の事を表してます。
なので大きく分けるとタンパク質の一種になります。
タンパク質と聞くと、「筋肉」をイメージされる方も多いと思いますが、
もちろん筋肉もタンパク質でできていますし、さらに、筋肉だけではなく、
お肌や舌や内臓などもタンパク質で作られています。
お肌や内臓と髪の毛が元々は同じ成分と言われても信じ難いかもしれないですが、
約20種類のアミノ酸の配合バランスによって、硬くなったり柔らかくなったりしているのがタンパク質です。
その中で
・髪の毛や爪などの硬い性質を持っているのが「ケラチンタンパク質」
・肌や内臓などの柔らかい性質を持っているのが「コラーゲンタンパク質」
という2種類に分けられます。
なので、ヘアケアの業界でよく聞く『ケラチン』というのは、
「アミノ酸が結合して硬い性質を作っているタンパク質」という事になります。
ケラチンタンパク質をもう少し深掘り
先ほどケラチンタンパク質は約20種類のアミノ酸が結合していると書きましたが、
正確には髪の毛を作っているアミノ酸は18種類、体を作っているアミノ酸は20種類になります。
髪の毛のアミノ酸の内訳はこちらです。
さらにこの18種類のアミノ酸は、3つのグループに分けることができます。
・「グルタミン酸」「アスパラギン酸」・・・酸性の性質を持ったアミノ酸
・「アルギニン」「リジン」「ヒスチジン」・・・アルカリの性質を持ったアミノ酸
・「それ以外のアミノ酸」・・・中性の性質を持ったアミノ酸
よくパーマの1液などに「アルギニン」が使われますが、「アルギニン」は元々髪に存在しているアルカリの性質を持ったアミノ酸なので、ダメージが少なくパーマをかけることができる、ということで使用されてます。
他にもパーマの時には必ず名前が出てくる「シスチン」なども代表的なアミノ酸です。
ケラチンタンパク質のトリートメントでの使われ方
説明したように、髪の毛は18種類のケラチンタンパク質が「結合」した状態で作られています。
これが、
・カラーやパーマなどのケミカル成分
・ストレートやコテ、ドライヤーなどの熱
・ブラッシングによる摩擦や紫外線などの外的要因
によって「結合」が切れて、ケラチンタンパク質が流出することでダメージへと繋がっていきます。
そこで、損なわれたケラチンタンパク質を補うのですが、元々の結合された状態だと、大きすぎてキューティクルの隙間から入れ込むことができません。
ですので、一度「加水分解」という処理をして、結合を細かく切って小さくしてから髪の毛に入れ込んでいきます。
その細かく切った状態が『PPT』や『アミノ酸』と呼ばれる状態です。
つまり、
『ケラチンタンパク質』『PPT』『アミノ酸』は元々は同じ成分です!
『ケラチンタンパク質』を細かく切った状態が『PPT』、
『PPT』を細かく切った状態が『アミノ酸』、となります。
美容室でよく使われている『PPT』は、ケラチンタンパク質を、髪の毛の内部に入る大きさに切断した栄養成分なんです。
タンパク質、PPT、アミノ酸の補修効果の違い
髪の毛の中に入れて補修するなら、より浸透しやすそうな細かい『アミノ酸』だけあればいいんじゃないか?
と思われる方も多いと思います。
ですので、それぞれの補修効果についても簡単にお伝えします。
イメージしやすくするために、
『ケラチンタンパク質』は『石』、『PPT 』は『砂利』、『アミノ酸』は『砂』
で考えてみてください。
ストローの中をこれらでパンパンにしようと思うと、
・『石』は一番固くて強いですが、大きすぎると入らないですし、無理矢理詰め込んだとしても隙間だらけです。
・『砂利』は石ほどは固くないですが、そこそこ硬さもあり強いですし、若干隙間はありますが中をある程度満たすことができます。
・『砂』は硬さがなく強度も弱いですが、隙間なくストローを埋めることができます。ただ、中に維持するのが難しいです。
というように、大きさが変わるだけでそれぞれの性質も変わってきます。
お客様の髪の毛の状態や、どういったメニューでどれくらいダメージするのか?
によって、同じケラチンタンパク質でも様々な用途があるんです。
髪の毛のトリートメントで使用されるケラチン
「ケラチン」が髪の毛を修復してくれるというイメージはなんとなく理解頂けたと思います。
ここからは、トリートメントとして実際に使用されているケラチンについて説明します。
トリートメントで使用しているケラチンはほとんどが「動物由来」
トリートメントで使用している成分で「ケラチン」と聞くと、
かなりケミカル的なイメージがありますが、実は「ケラチン」は人口的に作られたモノではなく、
さまざまな動物などから採取されています。
代表的な動物は『羊』です。
市販のトリートメントなどでも裏の成分表記をよく見てみると書いてたりしますが、
〇〇ケラチンみたいな表記は、別途注意書きで「羊毛由来」と書かれていることが多いです。
『羊毛』の特徴としては、ウールのセーターなどでも使われている通り、繊維がしっかりしていてハリコシが出しやすいです。
続いて多いのは『水鳥』です。
こちらは羽毛布団やダウンジャケットにも使われている通り、『ダウン(胸の部分)』と『フェザー(羽の部分)』に分類されます。
どちらも軽くてしなやかな繊維のため、自然でしなやかな質感が出しやすいです。
これら以外にも、
・卵の薄皮部分から取れる『卵殻膜』
・カニの甲羅などから取れる『甲殻』
・健康な人の髪の毛から取れる『人毛』
など、人間も含めてさまざまな生物からケラチンは採取できます。
食品業界とは違って、『大豆』から取れるタンパク質というのは聞いたことがないです。が、
ヴィーガンなどの流れから、今後はこういった成分も使われるようになるかもしれません。
まとめ
今回はケラチンタンパク質について書きました。
当たり前の内容なので知ってるよって人の方が多いとは思いますが、
一般のお客様は意外と知らない内容です。
これからますますケラチンは注目されると思いますので、
今のうちにお客様に簡単にでもお伝えしてみてください!!